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共有物分割請求訴訟の判決(全面的価額賠償)

原告が自らが共有物を単独所有する全面的価格賠償を主張したのに対し、被告が共有物分割請求が権利の濫用に該当すると主張するともに、分割する場合には自らが共有物を単独所有する方法での全面的価格賠償を求め、裁判所は、建物の共有関係や敷地の所有状況等を考慮の上、原告が単独所有する方法での全面的価格賠償を認める判決を下した事案(東京地裁平成27年7月2日判決)。

当事者の希望する分割方法

原告:共有建物の敷地は、原告単独所有。建物の共有割合は、原告5分の4、被告5分の1。被告5分の1の持分取得資金(建築資金)も原告の父親が支出したものであるため、原告が共有建物を単独所有する方法での全面的価格賠償を希望。
被告:共有建物に居住するとともに、自動車販売、修理を目的とする会社を設立し、共有建物を同社の本店所在地として経営。原告は、共有建物から退去しているのに対し、被告は共有建物を失えば、生活の基盤を失うことになる。したがって、原告による共有物分割請求は権利の濫用に該当し、また分割する場合には、被告が共有建物を単独所有する方法での全面的価格賠償を希望する。
なお、原告と被告は離婚訴訟中の夫婦である。

争点

・共有物分割請求が権利の濫用に該当するか。
・全面的価格賠償の取得者

裁判所の判断概要

裁判所は、概要以下の理由から共有物分割請求は権利の濫用に該当せず、原告の単独所有を認める全面的価格賠償の判決を下した。

・共有建物の敷地を原告が単独所有していること、共有建物にかかる税金などの費用をすべて原告が負担していること、被告持ち分の5分の1も実質的には原告の父親が負担したものであること、被告の家族が近隣に居住しており一時的にではあっても家族の元に居住することは可能であること、被告が経営する会社の営業内容は主に定期的に顧問先を訪問することであり、修理も外注に出すものであるから必ずしも事務所として共有建物が必要不可欠とまでも言えないし、事務所を移転したとしても顧客との信頼が直ちに失われるわけではないこと。
・建物の価格については、固定資産税評価額とすることについて当事者間で争いがないため、当該金額を基準に全面的価格賠償の価格賠償金が決められている。
・共有物分割請求が権利の濫用となるか否かについては、共有物分割が実現されることによって原告の受ける利益と被告の被る不利益等の客観的事情のほか、分割を求める原告の意図とこれを拒む被告の意図等の主観的な事情をも考慮して決すべきものであるとの最高裁判例(平成7年3月28日第三小法廷判決)が引用されている。

原告が全面的価格賠償を主張したのに対し、被告が現物分割又は競売を主張し、裁判所が土地の現状の利用方法等から原告による全面的価格賠償を認める判決を下した事案(東京地裁平成27年7月15日判決)。

当事者の希望する分割方法

原告:共有土地上には、原告単独所有建物が存在するため原告が被告持ち分を取得する全面的価格賠償
被告:現物分割又は競売

争点

分割方法

裁判所の判断概要

・土地上に原告所有建物があり、同建物は貸しビルとして複数の賃借人に賃貸されている。建物の敷地の一部を被告が取得する方法での現物分割は、被告の原告に対する建物収去・土地明け渡し紛争が現実化する危険性が高く相当ではないし、被告が土地を現物取得すべき必要性は見当たらないため、全面的価格賠償が相当(被告は鑑定により適正に評価された持ち分の価格を取得できるため、競売による分割は不相当。)。
・価格賠償金額は、裁判所における鑑定の結果に準拠。
※なお、本件では、被告が原告に対し、①(特殊事情を主張して)共有地上の建物の収去②原告が共有地を単独使用していることについて不法行為に基づき賃料相当損害金の支払いを求める反訴を提起している。
裁判所は、①については請求を棄却し、②については裁判所による鑑定結果に準拠して賃料相当損害金を認容した。

原告が9割の持ち分を保有する区分所有建物の共有物分割訴訟に被告が出頭しなかった場合において、原告が私的鑑定に基づき全面的価格賠償を主張したが、裁判所は、公的な鑑定を実施しそれに基づいて賠償金を決めた事案(東京地裁平成27年1月15日)。

当事者の希望する分割方法

原告:原告が、持分20分の18を持つ区分所有建物であり、かつ、同区分所有建物は全く利用されていないため、原告が区分所有建物を単独所有する全面的価格賠償を希望する。
被告:不出頭(擬制自白)

争点

分割方法

裁判所の判断概要

被告が、分割方法について争うことを明らかにしないため原告が単独所有する方法での全面的価格賠償とする。価格については、原告は、裁判前にいわゆる私的鑑定を行っていたが、裁判所は、訴訟において独自に鑑定を行い、これに従って、価格賠償金額を決定(私的鑑定は、取引事例比較法の適用を行っていない点について精密性に欠けるとし採用しない。)。被告の持分に相当する価格賠償金額は、37万円余りであるところ、裁判所による鑑定を実施しその費用である84万円余りを原告が負担していること等に照らし、原告による支払い能力を認めている。

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