競売の場合落札価格は安くなるか
競売になると時価より安くなると聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょうか。
不動産の場所、面積、状況によるため一概に判断できません。
ただし、東京23区内にある土地または戸建(土地+建物)で平成27年に競売で落札された不動産(約250件)について、売却基準価格(評価人の評価に基づいて定められた競売不動産の価額)と実際の売却価格(落札価格)を比較し、中央値を算出したところ、実際の売却価格は、売却基準価格の159%となっていました。
しかし、売却基準価格は、算出過程において競売市場減価をしているため、一般的には低い価格となっております。
そこで、仮に競売市場減価を評価額の7掛けとして売却基準価格を0.7で割り戻し、その価格と実際の売却価格と比較し中央値を算出したところ、実際の売却価格は、売却基準価格を0.7で割り戻した価格の111%となっておりました。
※競売情報は、最高裁判所が運営する不動産競売物件情報サイト(BIT)から算出しました。
※競売市場減価とは、競売の場合、売主の協力が得られないことが常態であること、買い受け希望者は内覧制度による他物件の内部の状態を直接確認することができないこと、引き渡しを受けるために法定の手続きを取らなければならない可能性があること、瑕疵担保責任がないこと等の特殊性に基づく減価をいいます。
執筆者等
- 吉藤真一郎
- 弁護士
- 共有物分割請求、借地非訟などの不動産案件、相続案件などを多く取り扱っている。
- 幡田宏樹
- 弁護士・公認会計士
- 企業法務、同族会社(非上場会社)に関する問題、共有不動産に関する案件に取り組む。