他の共有者に持分を取得させることの可否
私は両親から実家の建物を相続し兄と共有しています。共有持分の割合は、私が8分の1で兄が8分の7です。実家の建物は、兄夫婦が両親と同居していたため、現在も兄夫婦が使っています。私としては、自分の持分を兄に買取ってもらいたいのですが、兄からはあまり良い返事をもらえていません。私の持っている持分を兄に強制的に買い取らせることはできないでしょうか。
共有の相手方に強制的に持分を買い取らせることは困難ですが、和解協議においては相手が持分を買い取る形での解決が可能か検討されるものと思われます。
現物分割が不可能であり、かつ、他の共有者が持分の買い取りの意向を示さない場合には、任意売却が成立しないなど事情がない限り、競売による換価分割により共有関係が解消されることになります。現実に競売による換価分割がなされた場合、お兄さんは生活の本拠としていた実家から退去する必要が生じ、競売による換価分割のリスクは相当程度大きいと思われます。
本件では、共有持分の買取りについてお兄さんからはあまりよい返事をもらっていないとのことですが、共有物分割請求訴訟の提起後であれば、お兄さんも競売によるリスクも踏まえ方針を決めていくものと思われますので、一般的には、任意交渉の段階に比べ、持分の買取する形での解決の可能性が高まるものと思われます。
執筆者等
- 吉藤真一郎
- 弁護士
- 共有物分割請求、借地非訟などの不動産案件、相続案件などを多く取り扱っている。
- 幡田宏樹
- 弁護士・公認会計士
- 企業法務、同族会社(非上場会社)に関する問題、共有不動産に関する案件に取り組む。