競売となった事例
事案の概要
Aさんは、親族であるBさんと土地(関東)と建物(築30年以上)を共有し、Bさんが長年居住しておりました。Aさんとしては、このまま共有持ち分をもっていてもメリットがないため共有関係の解消を希望しておりました。
解決までの流れ
Aさんからの委任を受け、共有物分割訴訟を提起し競売の判決を求めたところ、BさんはAさんの共有持ち分を買い取りたい旨の意向を示しました。この場合、持ち分の買取価格が争点となりますが、協議により価格が折り合いませんでした。そこで、裁判所において鑑定が実施されこれに基づき一定の価格が示されました。
ところが、Bさんとしては、鑑定に基づき示された価格が想定したよりも高かったようで、その価格では持ち分を買い取ることができず、競売でもやむを得ない旨方針を変更しました。
そこで、裁判所は競売の判決を出し、約10か月程度の競売手続きを経て、Aさんは持ち分を現金化することができました。
コメント
競売により不動産を売却する場合、価格は入札状況によってしまいますので、と言わざるを得ませんが、本件では、訴訟における鑑定の金額や、競売手続きにおける評価を0.7で割り戻した金額よりも高い金額で入札がなされました。
※一部、実際の事例を加工してあります。
執筆者等
- 吉藤真一郎
- 弁護士
- 共有物分割請求、借地非訟などの不動産案件、相続案件などを多く取り扱っている。
- 幡田宏樹
- 弁護士・公認会計士
- 企業法務、同族会社(非上場会社)に関する問題、共有不動産に関する案件に取り組む。